味覚は3ヶ月で変化する、美味しいのその先へ
僕は職業柄、ほぼ毎日自分で作った野菜を食べています。たいようまるかじり農園の野菜は全て無農薬無化学肥料ですから、身体にスッと滲み入るようなナチュラルな野菜です。
随分昔の話になりますが、タイトルの体験を書いてみようと思います。
僕が新規で農業をする前、それこそ大学生の頃などは、それはそれは酷い食生活でした。
そんないい加減な食生活を続けていたのですが、あることをきっかけにその食生活は180度、ガラッと変わりました。
それは農業を始めたことと、今の奥さんと同居を始めたことです。
独り身の時はよくファストフードやコンビニ弁当で食事を済ませることも多かったのですが、今の奥さんとの同居をきっかけに家でご飯を食べることが多くなりました。
それと同時に、それまでは家庭菜園レベルの小さな畑をやっていたのですが、比較的大きな畑を借りられて、野菜をたくさん作るようになりました。
畑をやっていると曲がったものや虫食いのものなど、所謂B品野菜が出ます。
そういったものは勿体ないので家で積極的に食べるようになりました。
そんなわけで、それからはほとんど毎日、半強制的に季節の無農薬野菜を食べる食生活となったのです。
そしてそんな食生活を続けて3ヶ月ほど経ったある日、自分の味覚の変化に気づきました。
最初は市販のお吸い物の素でした。学生の頃、お湯を注ぐだけで飲めるということでガブガブ飲んでいた市販のお吸い物だったのですが、ある晩ご飯に飲んだところ、変な味がして最後まで飲めませんでした。
次はあるコンビニのお弁当です。何口か食べたのですが、舌が痺れるような、変な味がする。これも最後まで食べれませんでした。
つい数年前までジャンクフードのミルフィーユ状態で何でも平気で美味い美味いと食べていただけあって、この変化は非常に驚くものでした。
きっといい加減な食生活からオーガニックライフへの急カーブで僕の舌も混乱していたのかもしれません。
しかしながらこの体験は非常にインパクトがあり、農業を始めたばかりの僕に食の大切さを身をもって感じさせてくれた出来事でもありました。
その時から今まででも「美味しい」の感覚が随分と変わったように思います。今の自分から見れば、かつての「美味しい」は「美味しい」ではなかったように思うのです。そう考えるとまだまだ先がある気がしてなりません。
そしていつか「美味しい」のその先の風景を見てみたい、そう思うのです。