熊澤酒造初めての稲刈り、ロマンチックが止まらない

先日、熊沢酒造の「酒米プロジェクト」の記念すべき初めての稲刈りが行われました。

 

今年は台風の被害もなく、初年度でありながらとても良好な出来。田んぼを貸してくれている地主さんからも「上等だ」とお会いするたびに褒められます。

 

昨年の秋にプロジェクトの相談を受け、冬から準備を進めて来ました。地主さんや地域の方々とコミュニケーションを取りながら、苗作り、田植え、水管理、そして今回の稲刈りまでずっと世話をして来ただけに、とても嬉しく思います。

 

この「酒米プロジェクト」は、今まで他県から購入していた酒米を自社で栽培し、また地域の農家さんにも生産を協力してもらって、原材料である米を地域の米にしていくというものです。
つまりお酒だって地産地消、原材料だって自給率アップ、多様化する日本酒界で正真正銘の「湘南の味」を目指していくというプロジェクトです。

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また今回プロジェクトの相談を受けた時、社長から一枚の写真を見せてもらいました。

 

それは昭和30年代の熊澤酒造周辺の航空写真でした。
一面の水田の真ん中にポツンと酒蔵のある、住宅街となっている今とは全然違う風景がそこにはありました。

 

日本酒の原材料は米と水です。つまり原材料が豊富な、キレイな水の流れる米所に、酒蔵は建てられたのです。
かつては自社でも田んぼを持っており米を栽培していました。また周りの農家さんも稲刈りの終わった冬の農閑期に、蔵人として酒蔵で働いたりもしていたそうです。

 

農業の衰退が叫ばれる中、酒蔵があることによって守れる風景がある。そういったかつての風景を取り戻すというのも、このプロジェクトの大きなひとつのテーマとなっています。
ロマンチックですよね。

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今回収穫した酒米は、地域の酒米栽培に協力してくださった農家さんの酒米と合わさって、地域の酒米のみで醸されます。
2021年2月3日に発売開始の「立春、朝絞り、天青吟望」となって販売される予定です。どんなお酒になるのか、今からとても楽しみです。

 

ともあれ、無事に稲刈りが終わってホッと一息。そういえば今夜は中秋の名月ですね。
お月見しながら乾杯させていただきます。もちろん日本酒でね。