白ナスはお暑いのがお好き?種の出身地を考える

日の入りは17時30分、すっかり秋めいて過ごしやすい気候となりました。
 
少し季節外れではありますが、種の出身地と近年の猛暑との関係についてお話ししておこうと思います。
 
近年の夏が異常に暑いのは、みなさんご存じのところかと思います。
僕が家庭菜園を始めた10年ほど前は「クーラーのつけ過ぎって健康に悪いよね」などと言っていましたが、今となってはTVのニュースで「我慢せずにクーラーをつけましょう!」と呼びかけるほど、世の中の意見は変わりましたよね。
 
そしてこれは人間に限ったことではなく、野菜も同じだったりします。
いくら夏野菜といっても生育適温は25〜30℃くらいのものが多く、今年のように最高気温35℃などを連発されれば、種類によっては野菜も生育が悪くなったりします。
 
現にたいようまるかじり農園の今年のピーマンは、葉が枯れ落ちてしまい、あまり収穫できませんでした。
空芯菜も梅雨の頃に比べてピタリと生長が止まってしまったりもしましたね。
 
しかしながらそんな猛暑の中、すこぶる調子がいいという野菜もあったりします。
それは白ナスや島オクラ、四角豆やゴーヤなどです。

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薩摩白長茄子。暑い夏でも元気いっぱい。

そしてこれらの野菜にはある共通点があります。
それは神奈川県よりも南の、暖かい地域で栽培されている野菜ということです。
 
ある年の夏、さまざまな地域の在来種の種を取り寄せて、神奈川県で育ててみたことがありました。
そしてその夏も大変厳しい暑さとなって、その結果は如実に現れました。
 
仙台出身の長ナスは元気がなく、あまり実が付きませんでしたが、鹿児島出身の白ナスはめちゃくちゃたくさん獲れました。
またヨーロッパから取り寄せた赤いオクラは半分くらい枯れてしまいましたが、沖縄出身の島オクラはモリモリ育ちました。
その他、大変元気に育った四角豆やゴーヤも、我が国では沖縄県で栽培が盛んな野菜です。
 
僕はこのことがあってから、夏野菜の品種選びは「種の出身地」を考慮に選ぶようになりました。
10年前より確実に暑くなっている夏です。野菜栽培の適地も変化していて当然です。
 
現によく市販の種袋の裏に書いてある「作付け適期」の表も、野菜によって変わっているように思います。例えば春にしか種まきできなかったものが、秋にも作れたりとか。
種屋さんの知り合いがいるので今度詳しく聞いてみますね。
 
地球温暖化や異常気象が止まることをしらない現代です。
それを肌身に感じて、それに合わせてスタイルを変化させていくことも、現代の農家に求められる能力のように思います。
 
人間だって「北海道出身だから寒さに強いんだね」とか「沖縄出身だから暑いの大丈夫なんだぁ」などと感心しあったりしています。
相手の気持ちになって考える 、それは種も人間も同じってことですかね。