空に向かって伸びるオクラ、そしてその生長速度の早さよ

先日、僕が運営をしているたいようまるかじり農園を訪れた青年が言いました。
 
「オクラってこうゆう風になるんすね。ぶら下がって成ると思っていました。」
 
なるほど確かに、オクラが成っているところを見たことがなければそのように思うかもしれませんよね。ナスやピーマンのように、房を上に、下にぶら下がるように果実がなる野菜は多いですから。
 
しかしオクラは別で空に向かって伸びます。

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上向きに伸びるオクラ。
僕は家庭菜園を含めるとかれこれもう10年近く毎年オクラを栽培しているので、オクラが上に伸びることに対してのフレッシュな感覚を完全に忘れてしまっていたようです。
 
夏に獲れるオクラは熱い熱い太陽に向かって茎を伸ばし、そして実も太陽に向かって伸びます。決して下を見ることなく上へ上へと伸びていく様は美しく、まさに向上心の塊のような野菜です。
 
そして秋、収穫時期の最後の方になるとその株の背丈はなんと3mほどにもなる。空に憧れて、生長を続けたひと夏の物語は終わりを告げて、やがてその身体は空に向かって立ったまま枯れるんです。

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収穫を終え、立ったまま枯れたオクラ。その長さは3メートルにも。
そしてオクラの生長について特筆すべき点はもう一つあります。
 
それはめちゃくちゃ早いその生長速度です。
 
オクラの花が咲き、実をつける。この実の生長速度がめちゃくちゃ早い。またその実は収穫を怠り大きくなりすぎると筋張って固くなり、食べられなくなってしまいます。
それはどのくらいのスピードで、何日感覚くらいで収穫すればいいのか。
 
答えはほぼ毎日です。
 
オクラは収穫時期がくると次々と花を咲かせ、実を付ける。そして10cmほどで収穫するのですが、まだ小さいものを収穫せずに2日もすると、今度は大きくなりすぎて筋張って硬くなってしまう。そのため家庭菜園の自家用ならともかく、八百屋さんに納品する商品は硬いものが混じってしまうといけないので(外見じゃわからない)ほぼ毎日収穫するんです。
よって7月頃、オクラの収穫が始まると僕は問答無用に錬金術師ならぬ連勤術師と化する。
 
雨の日も風の日も、毎日畑に出てオクラと戯れる。毎日の積み重ねで僕はオクラと共に向上していく。
 
そんなオクラの収穫もそろそろ終わり。今年の連勤術の日々も幾分落ち着いてきました。
合わせるように訪れる秋の夜長に夏の激しさを想うのです。